黒き遊び

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最後の一台を見送って、ようやく一息つく。 日もとうに暮れたガソリンスタンドに、やっと静寂が訪れる。 今までひっきりなしに車が入って来て、息をつく暇も無かった。 「やー、ひかりちゃんが入って来てから何だかお客さん一杯だねえ。恐るべしひかりちゃんパワー」 道路からスタンド内に戻った勇に、汗を拭いながら隼が声を掛けて来る。 確かにひかりが来てから客が増えたのは間違い無い。 忙しくなるのは良い事だ。 「もしかしたら時給もアップするかもねー」 一方のひかりは、向こうで車の窓を拭く為の布巾を手際良く干している。 「よく働くし気が利くし可愛いし。どうしてあんないい娘に素っ気無くするのかな、勇は」 「いや、あいつはとても悪い娘だぞ。実は裏社会の女ボスか何かじゃないかと思う位だ」
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