黒き遊び

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「わ、結構血が出てる」 目を覚ました宴の耳に入って来たのは、まだ幼く聞こえる少女の声だった。 続いて、深い溜息が響く。 「全く、お前が来てからろくな事が起こらないな」 すると、少女の声がむっとしたものに変わった。 「私のせいじゃないよ。人を、変なウイルスみたいに言わないで」 「分かったから、傷口を広げるんじゃない」 宴は身を起こし、少し離れた場所で勇の肩の傷の手当てをするひかりの姿を見た。 やはり似ている。 だから、あんな夢を……。 手当てを終えて服を着ながら、勇がふと宴の方を見た。 「ああ、起きたのか」 すると、ひかりも救急箱を閉じながら言う。 「あ、大丈夫?手当てはしたけど、何処か痛む?お腹はすいてない?」 「おい、俺より明らかに扱いが良くないか」 横から勇が口を出すと、ひかりは当然のように返す。 「だって、お客さんだから。お持て成しは大事だよ。あ、でも……」 言葉を切り、拳を固めて宴の方に身を乗り出す。 「勇を今もまだ殺すつもりなら、私が相手になる!」 「こら、恥ずかしい事を言うなよ」 細い肩を掴んで引き戻しながら勇が言うと、ひかりは憤然と振り返った。 「恥ずかしくない!私が勇を守るって、約束したもの!」 「救急箱を振り回すな」 ひかりの手から救急箱を取り上げながら、更に続ける。 「大体、お客さんって言うならいきなり喧嘩を売るなよ」
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