3人が本棚に入れています
本棚に追加
宴はアパートの階段を下り切った所で振り返り、二階を見上げた。
まさかこんな所で、また会う事になるとは。
そして、気になるのはあの少女だ。
彼等の子供という事は無い。
あんなに大きな子供がいる筈は無いから。
けれど面立ちは驚く程に似ている。
何より、少女の纏う雰囲気が。
意識しては出せない雰囲気が似過ぎている。
「……困りましたね」
思わぬ事態に心が掻き乱されている。
それを鎮めるように声を発した。
「これから、どうしましょうか」
呟いてから歩き出す。
思うのは、ここ数年思い出す事も無かったあの日の事。
これから、どうしようか。
その答えを知る術は、きっとその辛く哀しい記憶の中に。
それを掴むかどうかは、この闇の濃さによる。
最初のコメントを投稿しよう!