いまきみの望む証を

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次の授業は移動教室だった。 勇は隼と共に教科書を小脇に抱えて階段を下り、保健室の前を通り掛かった。 「……何だ?この人だかりは」 保健室の前には、生徒達による黒山の人だかりが出来ていた。 見る限り皆元気そうだから、休養をしにという訳では無いだろう。 「ああ、そういえば何か今日から新しい保健室の先生が来たんだったね」 隼が自分も興味深げに生徒達の間から保健室を覗きながら言った。 そういえば、朝に担任がそんな事を言っていた気がする。 「それにしたって、これは異常じゃないか?」 これではまるでアイドルだ。 「よっぽど綺麗な人か、よっぽど格好良い人なんじゃない?」 それで此処に集まるとは。 短い休み時間に、わざわざご苦労な事だ。 「あ、勇。何してるの?」 後ろから声を掛けられて振り返ると、ひかりと優衣が教科書を抱えて立っていた。 「凄い人ね」 「うん。ちょっと通りにくいよね」 優衣の言葉に隼が答えた時、集まっていた生徒達がどよめいた。 人混みを割って、保健室から背の高い人物が出て来る。
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