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「おい、あれ……」
勇が呟き、ひかりもその人物に驚いたような視線を送った。
それに気付いたのか、相手と目が合ってしまう。
「おや、これはこれは……。勇君とひかりさんじゃないですか」
「え?ひかり、知り合いなの?」
「うん、まあ……」
ひかりが曖昧な返事をしている間に、高級そうなスーツを着た宴は近付いて来た。
「どうもお久し振りです」
「そうでもないと思うが」
ひかりは厳しい瞳をして、宴を見返す。
「何をしに来たの?まさか、勇を殺……」
そこで勇がすかさずひかりの口を押さえ、隼に向かって言った。
「悪いが先に行っててくれ」
「あ、うん」
「むーっ、むーっ」
ばたばたと暴れるひかりの口を押さえたまま、勇はずるずると引きずって歩く。
そしてそのまま宴と共に保健室に入った。
後に残された隼と優衣は顔を見合わせる。
「どうしたのかしら」
「さあねえ。ま、とにかく行こうか」
丁度、休み時間の終わりを告げるチャイムが鳴った。
集まっていた生徒達も、それぞれ教室へと帰って行った。
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