いまきみの望む証を

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全てただ、自分に都合が良い解釈に過ぎないかもしれないけれど。 勇は素っ気無いけれど、本当は優しい人だから。 願わずにはいられない。 勇は僅かに微笑んで隣を歩くひかりの方をちらりと見た。 いつの間にか、こんな風に並んで歩くのに慣れていた。 無意識にひかりに合わせて歩くペースを緩めたり。 今日の夕飯は何にするかとか、他愛の無い話をしたり。 そんな日常に慣れてしまっていた。 だからひかりがいつもと違って何処か元気が無ければ、願ってしまう。 どうしても。 『勇がいてくれるから』 自分はそんな大した人間ではないし、何かをしてやれるとも思わない。 これを言えばひかりの不安を全て消してやれるなんて、大それた事は思わない。 けれど願ってしまうから。 いつの間にか、心から。
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