第三章

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現時点ではまだ、一方的煌人が雅たちから話を聞いただけの段階で、情報の交換は成立していない。 お互いの知っていることを共有しようと顔を合わせて、自分たちばかりが搾取されていることに不満を覚え始めていた雅が、煌人へ強い視線を向け牽制するように告げた。 「……ああ、そうか。そうだな。確かに、こっちもある程度の情報は流さないと悪いか」 必死に威嚇しようとする小動物を見るような目で雅を見つめ返し、煌人は紀絵のスマホを一度手元へ置いて小さく咳払いをした。 「だが、その前に一つはっきりさせておきたい。きみたちは、何故ここまでして鏡小屋に関わろうとするんだ?」 「え?」 「友人たちの身に振りかかった災厄を想像すれば、普通じゃないことが起きているのはわかっているだろう? それでもこうして逃げずに調べ続けている理由を知っておきたい。もし、この件を単なる好奇心の延長だとか、どうせ真相は大したことじゃないだろうとか、軽く考えているのなら……ここで関わるのはやめておくべきだ」
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