第三章

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煌人に対してか、それとも琴音の親をあしらった警察の態度に対してかは定かでないが、雅はあからさまに苛々した様子を表に出した。 「……そうか。なかなかご立派な友情だな。残りの二人は? 富岡さんと同じ気持ちか?」 あくまで涼しい態度を崩すことなく、煌人は保志子と紀絵にも問いかける。 「は、はい。琴音も瑠花も、わたしにとっては数少ない友人ですし、何とかして助けられるなら、そうしたいなって。……紀絵は、わたしがお願いして巻き込んじゃっただけですけど」 先に答えた保志子は、段々声音を尻すぼみさせていき、怒られることを恐れる子供のように、横目で紀絵へ視線を送った。 「ふぅん。それじゃあ、きみはこの中では一番部外者の立場にあるわけか? 二人の手前気を遣ってしまうだろうが、本心としてはどうだ? このまま更に足を踏み入れる覚悟と理由がきみにはあるのか? もし義理で仕方なくここにいるだけなら、悪いことは言わないしこの二人にも俺が言わせない。すぐに帰って二度と関わらないべきだ」
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