第三章

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訝し気に眉をしかめる雅を軽く手で制すようにして、煌人は更に話を進める。 「知らないなら別にそれでも良い。ただ、この女を殺した四人組の一人が、事件当日に鏡小屋がある南室山付近で目撃されていたらしい。事件を扱った記事に書いてあった。そして、自宅アパートで女の殺害を実行したのは残りの三人。つまり、どういうわけかこいつらは東京と福島にわかれて謎の別行動をしていたわけだ」 「自宅アパートって……女性の?」 問いを呟いたのは、保志子だった。 「ああ。殺す二日くらい前に、四人で押し入り監禁していたようだな。殺されたのは日曜の深夜。犯人グループは全員、医大に通う医者の卵で、オカルトサークルのメンバーでもあった。要は、エリート兼オタク連中ってところか」 気になるワードはいくつか出るも、まだ具体的なイメージを組み立てることができないのか、三人は黙ったまま煌人の話に集中している。
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