第三章

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指差した先に白黒の写真が載せられていて、そこには髪の長い大人しそうな印象の女性が写っていた。 写真の下には熊川多津恵(20)と表記され、煌人の話が真実であることを証明している。 少女たちは身を乗りだし、顔を寄せ合うようにして写真へ食いつく。 「そして、これは俺の個人的な勘だが、その熊川多津恵こそが鏡小屋に取り憑いている悪霊――つまりは、きみたちの友人を消し去った真犯人のはずだ」 「――え?」 写真へ釘付けになっていた少女たちの顔が上がり、音へ反応した猫のように一斉に煌人へ向けられた。 「その女の霊が鏡小屋へ()いて、近づいた人間たちを襲い続けているはずだ。理由は恐らく、自分を殺した連中への恨みが妥当だろうな」 「この人が……? で、でもこの人、東京にある自分のアパートで殺されて、そのまま放置されていたんですよね? だったら、どうして遠く離れた福島県にある山小屋なんかに幽霊が出るんですか?」 話がちぐはぐだ。そう言いたいのだろう。
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