第三章

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「血界幽閉……?」 馴染みがないという風に、紀絵が呟く。 「きみたちが知らなくても、別におかしくない。こいつは、オカルトマニアの間でも知る人ぞ知る、超マイナーな呪いの儀式だからな。しかも、未だに効果があるのかは曖昧な眉唾もんの儀式だ。そして、熊川多津恵はこの儀式が本当に効果のあるものかどうかを試すモルモットとして選ばれ利用された」 「儀式のモルモットって……この血界何とかって、いったいどういう儀式なの?」 紙を自分の元へ引き寄せ、食い入るように見つめながら雅が言う。 「そこに一通りの内容と手順は記載してあるが、まぁそうだな。口で説明するのなら、動物の血で赤く染めた鏡を最低四枚、できるなら限りなく多く用意し、その鏡に殺したい人間を映しこみながら殺害すると、そいつの魂を鏡の世界へ永遠に閉じ込めることができる。……そういう内容の儀式だ。一つ補足するなら、相手を殺す際はその自分が死んでいく姿を本人に見せつける必要があるってことか」
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