第三章

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長い前置きを話す煌人に焦れてか、雅は若干イラついたような声音を出し始める。 「まぁ、そう焦るな。説明には順序ってもんがあるだろ? そうだな……今説明した儀式を行うには、普通に考えれば被害者である熊川多津恵の部屋に鏡を用意し、そこで儀式を執り行うのが妥当だろう。でなければ、手間とリスクは高まるが熊川多津恵を鏡小屋へ連れていき、そこでやれば良い」 すぐ側を、ウエイトレスが通りすぎていく。 警戒するように四人でそれを見送り、声を潜めて話を再開した。 「しかし、現実はきみらが気づいた通り、被害者は東京、儀式の間は福島とあまりにも距離が離れすぎている。それじゃあ、この矛盾はどう説明するかってことだが、この部分を読んでみてくれ」 一枚目の紙に指を突き付け、煌人が三人の視線を誘導する。 そこに書かれていたのは、 〈容疑者と思われる四人組がサークルで使用していた部屋からは、数台のパソコンが見つかり、その内の四台からは事件があった日に動画配信を行った履歴が確認されている〉
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