第三章

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と記された文章だった。 「動画配信……。これって、ネットを使って視聴者とコミュニケーション取れるサービスだよね? 観てる側がコメント書いたりしながら参加する」 紙を見たまま、雅が言う。 「そうだ。さすがにきみら世代なら知ってるか。と言っても、当時はまだそこまでのサービスが広く普及していたかは、微妙なところだが。ここに書いてある動画配信は、東京にあるパソコンと福島にあるパソコンを、テレビの中継みたいに繋いで片方の映像をリアルタイムに見せるんだ。つまりどういうことかって言うとな」 そこでまた言葉を切り、煌人はコーヒーを飲んだ。 「儀式は熊川多津恵のアパートと福島にある山小屋、両方をネットで繋いで行われたってことだ。殺害するのはアパート、儀式は山小屋。本来なら一ヶ所でやるべき儀式を、ネットの映像配信という技術を用いて遠隔的にできないか。犯人たちはそれを試していたのさ」 話についてこれてるか、それを確かめるように煌人は少女たちの反応を窺う。
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