第三章

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「儀式を、遠隔的に? ……えっと、つまりこの血界幽閉の儀って言うのは、血を塗った鏡に魂を閉じ込めたい人の姿を映して、尚且(なおか)つその人に自分の死ぬ光景を見せた状態でなきゃいけないんですよね? 殺された女の人が瞼を切り取られていたのも、目を閉じさせないためで」 頭の中を整理するためにか、十数秒の時間沈黙し視線を伏せていた少女たちだったが、一番最初に理解を示してきたのは紀絵だった。 「儀式の場を二ヶ所に分けたってことは、アパートからパソコンの画面越しに赤い鏡を見せて、その状態のまま首を絞めていた。……ということ、ですよね?」 若干自信がなさそうに、紀絵は上目遣いで煌人を見る。 「ま、正解かな。つまり犯人たちは、現代の技術と呪いの儀式を融合することができるのかを実験したいという、自分勝手な好奇心のためだけに、無関係な人間を巻き込みその命を奪っていたわけだ」 「……最低。何それ」
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