第三章

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「この程度のぶっ飛んだ思考を持つ奴は、案外ゴロゴロいるもんさ。ただ、実行するかしないかで差があるだけでな」 顔を蒼白にして呟く雅に、煌人は複雑な笑みを作りながら言葉を返す。 「犯人たちは、熊川多津恵のアパートへ押し掛け、彼女を拘束した。そうして、事前に全員で準備していたのかもしれないが、鏡小屋へ一人が向かいそこで小屋の中を映像配信をする。それをたぶん、麻酔でも使って瞼を切断した熊川多津恵に見せ、ネットを媒介にしその魂だけ遠く離れた山小屋へ封じ込めることに一応は成功した。あくまで、一応な」 引っかかるような言い方をして説明を止めた煌人を、雅が不思議そうに睨む。 「……たぶん、完璧じゃなかったんだ。四人組がやったこの方法は。ちゃんとした、正式な手順で行う儀式なら、(ある)いはうまくいったのかもしれない。しかし、ネットを介してという前代未聞の試みは、実は失敗に終わっていた」
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