プロローグ

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鏡小屋に対するほとんどの書き込みは、そんな当たり障りのない内容のものばかりであった。 書かれた内容だけを眺めて、単純に感想を記しそのまま別の掲示板へ移動していくだけの利用者。 しかしそれらに紛れて、この話の真偽を確かめようと行動に移すことを宣言する者が一定数、存在した。 〈俺、今度ここ行ってみるわ。隣県だし、次の日休みなら余裕っしょ〉 〈マジ面白そうだな。どうせ何も起きねーのはわかってるけど、話のネタくらいにはできるだろ。ここ、本当に存在する場所だよな? 行ったら更地(さらち)でしたとかだったら、許さねーぞ(笑)〉 〈夏休みに入ったら、彼誘って行ってみます! 何か起きたら報告するから!〉 こういった猛者(もさ)たちの書き込みは一定の周期で増えてはいくのだが、不思議なことにその後彼らから結果報告となるような書き込みが一切追記されていない。 鏡小屋へ近づき真相を究明すると宣言した者だけが、例外なく音信不通になる不可思議な掲示板。 ただはったりをかましただけ。土壇場で怖気づいて逃げただけ。または単純に、報告を忘れているだけだろう。
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