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「久恵ちゃんは何がやりたいの?」
「やりたいことがよく分からないの」
「何が好きなの?」
「しいて言えば、お料理かな。ママに教えてもらっていたけど。ママは料理が上手で、パパがおいしいおいしいと食べていた。それを見ていたから、私も料理が好きになり上手になりたいと思うようになった」
「料理か・・・」
「これからは女の子も自立できなくてはいけないと思う。兄貴も久恵ちゃんが自立できるようにしたかったのだと思う。東京へ来ても短大卒では大きな会社への就職は難しいけど、派遣社員になれば仕事はあると思う」
「それでもいいけど」
「だけど自立するには、何か手に職をつけるとか、資格を持っていないとだめだ。おじさんの提案だけど、好きな料理の勉強をするのはどうかな? 東京へ来たら、調理師の学校へ行ったらいい。調理師免許がとれる。給料は底々だけど、就職口は沢山あると思う。好きなことを仕事にするのが一番よい。好きなら頑張れるし、上手くなる。才能があれば一流にもなれるし、お金は後からついてくる」
「調理師学校か、料理を基礎から勉強したいから行ってみたい。東京へいきます。お願いします」
思い切りのよい子だ。
「学費はおじさんが出そう」
「そんな迷惑かけられません。少しだけどお金はあるから。住まわせてもらうだけで十分です」
「兄貴との約束を果たすだけだから、気にしないで。おじさんにまかせて」
「でもそれじゃー・・・・愛人になって、そのお手当ということでは?」
「ええ! 驚かすなよ」
「へへ冗談」
「そんなこと二度と口にしないで」
「ごめんなさい」
「だったら、家事をやってもらうということでどうかな? 掃除、洗濯、料理など家事一切。生活費はおじさんの負担」
「家事をすることでいいのなら、そう難しくないし、気が楽なので、それでお願いします。おじちゃんの家計は大丈夫?」
「おじさんはこの年だから妻子を養えるぐらいは貰っている。久恵ちゃんを扶養家族にするから、税金も安くなる。健康保険も大丈夫」
「親身になってくれて、何から何までありがとうございます。よろしくお願いします」
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