第1章

2/117
前へ
/197ページ
次へ
「うん、できない(笑) で、そのくせに、鈍臭いところもあるのが俺としてはツボなんだよね(笑)」 「えー、何それー??」 確かに…そうだけど… 「んー、なんか、チグハグなところ?」 「や、やめてよー…」 「あはは(笑) それにしてもあの時は、たかがエレベーターくらいで何をそんな急ぐ必要があるのかと、びっくりしたよ。」 元彼はSっ毛のある人で、皆からのあだ名はジャイアン。別に悪い意味で短気だったわけじゃなく、ただ無駄な行動や時間をできれば省きたいタイプで、臨機応変に何でも卒なくこなす器用な人。 逆に、決して器用ではない私は、いつも彼についていこうと必死だった。頑張っても器用になり切れない私を、彼は「ったく、しゃーねーなー。」といいながらも、温かくフォローしてくれる優しさがあった。 外面はジャイアンでも、実はとても思いやりのある優しい彼を、私は好きだった。結婚も考えていた。 だけど色々な事情が重なって、 彼との別れを選択した。 そんな元彼と真逆な雰囲気を持つのが純さん。 【そんなに頑張らなくてもいいんじゃないの?もう少し肩ひじはらず、ゆっくりいこうよ。】 出会ってすぐの頃に、純さんに言われた言葉に私は衝撃を受けた。 純さんに言わせると、 「あの頃のマユはものすごい形相で鼻息が荒かった」らしい(笑)     
/197ページ

最初のコメントを投稿しよう!

103人が本棚に入れています
本棚に追加