第1章

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「いらっしゃいませ」 「ありがとうございます。」 笑顔の素敵な店員さん。 まずユリはビールを頼み、私は烏龍茶。 車だからね、まぁ、お酒もそんなに好きな方ではないし。 ユリは男前と呼ばれるくらい、細かいことにはこだわらないサバサバウーマン。 私が車いすだろうが、関係なく、一緒に行きたいところがあれば私を連れ出す。 彼女の中で私を形容する言葉に 「車いすの」というのは一切ない。 車いすだろうと何であろうと、 決して特別扱いはしない。 必要なところで「最小限」の手助けをしてくれるだけ。 彼女に、私を「助けてあげてる」という感覚なんてないのは、言動のすべてから伝わってくる。 そんなユリの飾らず、いい意味で遠慮のない、まっすぐな対応に、私は何度も救われてきた。 そんな彼女が私に話を聞いて欲しいなんて、あんまりないことだった。 「それで、話って何?」 まずは乾杯して、私は切り出した。 「んー、実はね。最近彼氏ができたんだ」 「えーーーーーーーっ??」 そういえば、さっきからユリの顔はニヤけてる。 「い、いつ?!」 ただ驚いて、そんな言葉しか出てこなかった。 「んー、後輩に告白されたの。1年前に。」 「1年前?!」 またもビックリ。そんな話聞いてない。     
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