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「いらっしゃいませ」
「ありがとうございます。」
笑顔の素敵な店員さん。
まずユリはビールを頼み、私は烏龍茶。
車だからね、まぁ、お酒もそんなに好きな方ではないし。
ユリは男前と呼ばれるくらい、細かいことにはこだわらないサバサバウーマン。
私が車いすだろうが、関係なく、一緒に行きたいところがあれば私を連れ出す。
彼女の中で私を形容する言葉に
「車いすの」というのは一切ない。
車いすだろうと何であろうと、
決して特別扱いはしない。
必要なところで「最小限」の手助けをしてくれるだけ。
彼女に、私を「助けてあげてる」という感覚なんてないのは、言動のすべてから伝わってくる。
そんなユリの飾らず、いい意味で遠慮のない、まっすぐな対応に、私は何度も救われてきた。
そんな彼女が私に話を聞いて欲しいなんて、あんまりないことだった。
「それで、話って何?」
まずは乾杯して、私は切り出した。
「んー、実はね。最近彼氏ができたんだ」
「えーーーーーーーっ??」
そういえば、さっきからユリの顔はニヤけてる。
「い、いつ?!」
ただ驚いて、そんな言葉しか出てこなかった。
「んー、後輩に告白されたの。1年前に。」
「1年前?!」
またもビックリ。そんな話聞いてない。
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