0人が本棚に入れています
本棚に追加
/10ページ
一
空から降りてくる粉雪が頬をくすぐる。
雪が音を吸い込んでしまうのだろうか。
何も聞こえない静かな静かな世界。
私は雪原に一人寝転んで眠そうに空を見上げる。
太陽は雲に隠れて見えないけれど、真っ白な雲を光輝かせている。
地面は雪に覆われて、空も大地も白に染まっていた。
静かで美しい白銀の世界に私も吸い込まれていく。
まるで私と世界が一体になっていくような感覚。
心臓の鼓動さえも世界に溶けて消えてしまいそう。
空の輝きが眩しくて、私は目を閉じる。
途端に眠気が足元から這い寄ってくる。
あぁ幸せなまどろみの時間。
このまま……このまま……。
最初のコメントを投稿しよう!