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四
「お客さん、コーヒーでもいかがですか?」
店主が声をかけてきた。「あぁブレンドで」と言って俺はカウンターの一席に座った。
「マコトちゃんも何か飲むかい?」
「いい。お小遣いない」
いつの間にか少女は靴下まで脱いでストーブにあたっていた。雪が溶けて全身びしょ濡れになっているのだろう。寒そうに震えている。
「俺が奢るから何か飲みな。寒そうだぜ」
「本当? じゃあチョコパフェ食べたい!」
「おい、温かい物を飲めよ」
「じゃあ紅茶とチョコパフェ」
「……わかった、好きにしろ。風邪ひくなよ」
あきれるぜ。こんなクソ寒いのにパフェなんて。それとも雪国の人間は皆こうなのだろうか。
「お客さん優しいねぇ。マコトちゃん、ちゃんとお礼言いなよ」
「ありがとうございます。おじさん」
「あぁ、いいんだ」
そうは言ったが俺は少しだけおじさん呼ばわりを気にしていた。微妙な年頃なのだ、俺は。
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