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とはいえ、救いのチャイムであるはずなのに、その音の隙間から聞こえてくる声が嫌で嫌でたまらない。
「んねー、あの子うざいよね」
「それなー。あと、こんな子もいたよ。ああ、嫌だ嫌だ」
ざわり
「はあ、うるさ」
「もう嫌なんだけど」
「だる。しんどいわー」
ぞわり。ぞわり。
「ほんっとうに、この人嫌いー」
「ああ、なんかもう声からして嫌だよね」
ざわり。ぞわり。
ああ、負の声は嫌いだ。
ちゃんとは聞こえていないけれど断片だけ、色んな所から聞こえてくる。
私は、心の声が聞こえるとかそういうのじゃないけど、ほんの少しだけ地獄耳をもっている。
断片しか聞こえないから、誰についての誰への話題かも分からない。
でも、それが私へ向けた非難の声に聞こえて仕方が無い。
まるで、短調のメロディーのよう。
ああ、さっきのY奈から言われた馬鹿って言葉。意外と傷ついたな。
馬鹿だから、その場に馴染めるように馬鹿っぽくしてるのに。
敵を作らないように、鬱陶しい感情に何も気づけない馬鹿になっているのに。
自分だけが、悲劇のヒロインとか考えているように見えて、ほんの少し気持ち悪いと感じる。
そのメロディーを、聞くと自分からも負の感情が湧き出てくる。
私はもしかしたらそのメロディーのせいにしていつも負の感情を誰かに向けているのかもな...
心の中で呟き出すと止まらない。
一時間目が終わるまで、わたしのなかから鳴り出した汚い短調のメロディーは鳴り止まなかった。
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