2人が本棚に入れています
本棚に追加
「そういえば、もう少しで水泳の授業があるよね。体育苦手って言ってるけと水泳はどうなの?」
水泳は得意だ。
「それだけは得意だよ~!見ててね!超絶素晴らしいbutterflyを見せてやるんだから!」
元気な声で答える。相手の望む雰囲気で。
でも、あれ、たしか。
見せる、なんていいながら、水泳の授業が始まる日にちを思い出す。
やばい。
「へえ、以外。私は苦手だわ~。10メートルで精一杯」
静かに焦る私に対して、Y奈は淡々と会話を進める。
そうだ、別に私なんかの言葉なんてY奈が覚えるわけないじゃないか。
「そういう所、可愛いくて好きだぞ~」
「人が苦手なところを可愛いなんて変だよ~!?」
笑いながらまた会話を続ける。
会話って言うのは難しくて、相手の求めている言葉を発さなければならない。
だって、苦手って言われてもどうすればいいか分からないじゃないか。
可愛いって言葉は結構万能だと思う。
実際、そういう謙虚な子ってのは可愛いと思う。
そして、自分がそれをやっても可愛くはならないも言うのも知っている。
可愛くない私は水泳が得意だ。
でも、水泳の日は丁度生理が被っていて参加出来ない。
血がダラダラ出てくるし、何より体が重くなる。思うように体が動かなくなるのだ。
見学をしないといけないのが嫌で嫌でしょうがない。
私の対人能力で、他の見学者と会話ができるか心配。生理になると頭にも血が回らなくなるんじゃないかってくらい思考が濁る。
変なことを口走ってしまうのではないか、恐怖でいっぱいになる。
そんな恐怖でいっぱいの私をY奈は知らない。そもそも、ただのクラスメイトの道化野郎の事を知りたいと思うわけないだろう。
嫌だな。
最初のコメントを投稿しよう!