白色の君

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 「あ、先輩。 そういえばなんですけど」  「夏のコンテストで苦戦してたお花、何て言うんですか?」  「えっ。なんで……?」  「先輩、植物の描写得意じゃないですか。苦戦する程の花は気になります」  「……あまり、難しいお花じゃないよ。花弁も多くないし、色も作りやすい方で」  「え? でもさっき苦戦したって」    「……アカネ」  「アカネ……」  「うん、地味で小っちゃい、白いお花」  「へぇ、構図決めに時間がかかったとかですか?」  「まぁ、うん?」  「え、何ですかその反応?」  「その、私も、君に伝えたい事があってアカネを選んだんだ」  「へ。えっ。なに、何をですか」  「……花言葉は、『私を思って』」  「……ん?」  ――夏は、僕にとっては出逢いの季節。  それと……恋人ができた、とっても特別な季節だ。
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