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開けた窓から少し温かな風が吹き込み、僕の髪を撫でた。
「ここは『去ぬ』だから、『ナ変』の終止形で……」
清々しいほどに白いページに、出来るだけ丁寧な字で空欄を埋めていく。
先輩の面倒を見るのもいい加減慣れたものだが、ほんとに、どうしてこう、計画性がないのか。
再度軽く溜め息をつき、窓から鮮やかに色づく新緑を見やる。
――そういえば、先輩と出会ったのも、こんな風に天気のいい、夏の日だった。
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