第1章 クロウ+白さぎ=灰かぶり

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第1章 クロウ+白さぎ=灰かぶり

 新出家の朝は早い。それというのも、できの悪い3歳年上の真里菜が何とか合格した高校が、家から遠い私学だったからだ。  しかも、そのお弁当を怜良が作らされることになり、毎朝5時起きしなければならない。  スマホのアラームが鳴っている。まだぬくぬくと温かい布団に包まれていたいのを我慢して、怜良はアラームを止め、片手で目をこすりながら、もう片方の手を伸ばし、ベッド横のカーテンを開けた。  4月の日の出は、怜良が起きる時間と同じなので、周辺を家に囲まれた怜良の部屋からは、ほんのりと明るくなりかけた空と、色を取り戻した屋根が見える。 「う~ん、まだ眠い。でもお弁当作らなくっちゃ!じゃないとノートや教科書隠されるし…」  両腕を上げて伸びをした怜良が、突然窓の(ひさし)から、にゅっと突き出た二つの頭に驚いて、びくっと身体を震わせた。  庇から逆さまに首を伸ばしたカラスとシラサギも、万歳姿の怜良とばっちり目が合って、驚いてたたらを踏んだ。バランスを崩したシラサギが真っ逆さまに庭へと落ちていく。 「あっ、大変!」  完全に眠気が吹き飛んだ怜良は、部屋を飛び出て階段を駆け下り、1階のリビングを突っ切って玄関のドアを開けた。     
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