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プロローグ
鋭い尖塔を連ねた城は、切り立った崖の上に天を突くようにそびえ、周囲の曲がりくねった枝や棘を持つ木に覆われて、まがまがしさを醸し出していた。
堅牢な城に見合った、見上げるような大きくて頑丈な扉には、狼の顔がついていて、吊り上がった赤い目が来訪者の動きを観察する。
だがこの扉はあって無いような物で、怪し気な城の住人は、自由に壁を抜けるどころか、空を飛び、悪業のエネルギーを求めて人間界と地底界を行き来する、魔王とその家族、そして使役たちだった。
アジア地域を縄張りとするコーグレ一族の城は、日本付近の異空間にあり、名前も日本名を名乗っていた。
一族の長は影魔・コーグレといい、2mは超す巨体に見合わないすっきりと整った顔立ちをしていた。
それを引き継いだ長男の深影は言うまでもなく、まだ幼い次男の蒼夜にもその片鱗が覗き、魔族の中ではたいそう美形な一族として有名だった。
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