プロローグ

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「仕方がない。本当はお前たちが人間に化けたままで、彼女と同じ学校に進んで、少しでも約束を実現できるようにサポートするのがいいが、母親の意識から読むと、彼女は大学まで一貫の女子校に通っているらしい。天界と魔界から交互に人間界に通い見張るしかないだろう」  結論は出たとばかりに今にも鷹に変身しようとした深影の上空が陰り、オオハクチョウが舞い降りた。 「今度は何だよ?」  今日は厄日だと投げやりに蒼夜がつぶやくと、オオハクチョウは光のベールに包まれたように発光し、そこにぼんやりと天使たちの映像が浮かび上がった。  天国の宮殿では鏡の泉に集まった天使たちが、天使の昇格試験を受けている天真を覗いて大騒ぎをしていた。 「何をやっているんだ天真は!」 「悪魔と一緒に管理人をするなんて、とんでもない!」 「神様に知られる前に、大天使ミカエルに助けてもらおう」  ところが、そこらにいた小さな天使たちを、薙ぎ払うような突風が吹き、顔を覆った腕を外した天使たちの前に燦然と光り輝く神様が現れた。 「この試験は無効じゃ!悪魔の所業に良心の呵責などないゆえ、まともな管理人になるとは思えぬ。天使の純度が落ちる前に、天真を即刻呼び戻せ!」 「では、あの少女はどうなるんでしょうか?願いも無効になるのでしょうか?」  小さな天使の世話役のアンジェが、恐る恐る前に進み出て神の御前に膝まづいて尋ねた。     
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