プロローグ

11/21
前へ
/165ページ
次へ
「一度願をかけたなら、それは審判の日まで有効じゃ。彼女が結婚する相手によって、彼女の運命が天のように光に満ちるか、はたまた地獄の闇でもがくかは彼女次第。途方もない願などかけた彼女が悪いのじゃ。成る様に任せ、天真には戻るように伝えなさい。管理人を放棄しても今回は降格はなしじゃ」 「天真は天使の中でも真面目な子です。放棄して少女が不幸になった場合、自分を責めるかもしれません。もし、天真が最後まで見届けると言ったら、どうなるのでしょうか?」 「命令をきけぬなら羽をもぐ!人間として暮らすもよし、悪魔の家族に加えてもらうもよし、勝手にすればよい」 「では、私に地上に下る御役目をお言いつけ下さい。悪魔が悪さを働かぬよう監視し、天真の保護者としてあの子の魂が汚れぬよう導くと共に、あの少女の行く末をも見守ります」  神は一瞬目を眇めたが、天使が己の約束を反故(ほご)するのに、悪魔がそれを見守る事態になっては天使の名折れになると踏んで、アンジェの同行を許可した。 「ただし、あの少女が本当にプリンスと結ばれプリンセスになった場合、悪魔の悪行は昇華し、人間になることを天真に伝えておけ」  畏まりましたと頭を下げたアンジェと天使たち一行の前で、また突風が吹き一瞬にして神の姿は消え去ったのであった。  ショックを受けて立ち尽くした蒼夜の目の前で映像は薄れ、光りのヴェールが辺りに溶ける。  中から金髪の美しい女性が現れ、蒼夜とくっついていた天真を引き剥がした。     
/165ページ

最初のコメントを投稿しよう!

122人が本棚に入れています
本棚に追加