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「ほんとだ!そういえばそうですね。どうして心配したんだろ?蒼夜君が聞いている悪魔と違って、優しいからかもしれません」
「はぁ?お前、悪魔に悪事を頼むのは、人間からだって知ってるか?悪だくみしといて危なくなると、悪魔にそそのかされたと嘘の言い訳をして、神様に助けを求めるのも人間だ。そのせいで俺たちは悪者にされるけどな」
蒼夜の話を聞いた天真は、どっちが正しいかなんて、その立場によってはずいぶん意味合いが違ってくるものだと知った。
「蒼夜君は、お兄さんやお父さんが好きですか?」
「ったり前よ!」
「ですよね?じゃあ、蒼夜君が悪魔でいられるよう、途中で必ず放り出すと約束してください」
「分かった。約束する。ぶっちするのは得意だから任せとけ!」
カラスとシラサギが笑うように鳴くのを見て、鷹の深影とオオハクチョウのアンジェが、屋根の上でため息をついた。
「あってはならない同盟が結ばれたな」
「そのようですね。二人は幼過ぎて、事の重大さが分かっていないのでしょう」
「だが、我々はそれぞれの稼業に徹して、弟たちが元の姿を失くさぬよう気を配らねばならない。こちらはこちらのやり方で弟を守るゆえ、悪く思うな」
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