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怜良が鏡の枠を膝に乗せ、恐る恐る両手を出すと、その小さな掌にカラスとシラサギが同時に欠片をのせる。
掌を交互に見つめた怜良の目から、大粒の涙が滴った。
「カァ~ッ。カァ~『おい、おい、俺たちは手伝ってやったんだ。何で泣くんだ?』」
慌てて怜良の周りを飛び跳ねだしたカラスに同調するように、シラサギも羽をばたつかせ、カラスと一緒に回りだした。
その様子を見て、怜良があっけにとられているうちに涙は引っ込んだが、泣いたことで鳥たちを慌てさせたのだということに気が付いて、先頭を跳ねるカラスに抱きついた。
「ギャッ!」
不意打ちにカラスが硬直したが、カラスに回した怜良の袖をシラサギがぐいっと引っ張ってきた。
その姿は、まるでカラスを離すようにと言っているようだった。
「ごめんね、驚かせて。2羽さんともありがとう。最近優しくされてなかったから、嬉しくて泣いちゃったの」
言葉が分かったように2羽が頷くのを見て、怜良は久しぶりに心が温かくなった。
その時、そっと様子を覗いていた明菜と真里菜が、すぐそばまでやってきた。
「鳥しか相手にしてもらえないってどう?しかもカラスなんかを抱かえるなんて信じられない!」
「新出怜良の名前にぴったりじゃない。おとぎ話の中でもネズミが友達だったんでしょ?」
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