プロローグ

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 しかし、そのことが義母の逆鱗に触れ、後日怜良は入学したての私学の女子中学校から公立の中学校に移されることになった。  そして、日を置かず男子2名が怜良のクラスに転向をしてきた。  普通複数の転校生が来れば、別々のクラスへと転入させるはずなのに、そのクラスの人数が少なかったせいか、それとも特別な措置があったのか、中学生になったばかりとはいえ、3人が一気に同じクラスに転向してくるのは珍しく、何かとその3人は話題にのぼった。  新出怜良という真っ白で、眼の大きなお人形のような女の子は一見弱々しく見えるようで、話してみたクラスメートは、自立を目指して頑張ろうする意気込みを感じた。  男子生徒は怜良のお人形さんのような外見に憧れを抱いたが、女子生徒は怜良の媚びないさっぱりとした性格に好意を抱き、転校したての学校生活は、怜良が心配した孤立もなく、スムーズにクラスメートに溶け込めた。  次の日に転向してきた男子生徒二人は、外見から性格まで、まるで反対のものでできているように違って見えた。  そのうちの一人、小暮蒼夜は長身で、真っ黒な髪に切れ長の目を持つ不良を絵に描いたような男の子だった。  悪い男の子という雰囲気は、いつの時代も異性を惹きつけるらしく、女子生徒は遠巻きに眺めながら、かっこいいとほ~っと溜息をついた。     
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