第1章 クロウ+白さぎ=灰かぶり

2/46
120人が本棚に入れています
本棚に追加
/165ページ
 目に飛び込んできたのは、地面に尻もちをついた白いパーカーを着た少年と、その横で黒いデニムについた芝を払っている少年だった。 「あなたたち誰?ここで何してるの?」  あげそうになった悲鳴を飲み込んで、怜良が恐る恐る尋ねると、振り向いた顔には見覚えがあった。  確か、怜良の後に転校してきた「オセロ」と呼ばれている小暮蒼夜と神谷天真だ。  不審者を見るような怜良の視線に気が付いて、蒼夜が慌てて説明をした。 「驚かせてごめんな。俺たち、その…散歩をしてて、天真がドジを踏んで落っこちたのを、俺が助けようとして失敗したんだ」  その説明に合わせて天真が頷き、怜良の部屋の窓を指さす。 「そうなんです。あの屋根から落っこちて、途中で羽ばたいて着地したつもりが、勢いで転んでしまって…」  怜良は両腕を組み、ますます分からないと首を傾げた。 「落っこちたのは、白い鳥でしょ?どうして天真君が転んでるの?」  ひょいと二人が顔を見合わせ、眼を見張る。蒼夜が両手を大げさに振ってしどろもどろに説明をつけたした。 「そうなんだ。屋根から落っこちたのはシラサギで、えっと、天真と俺がそれを助けようと駆け寄って…」 「僕が転んだのに、蒼夜が巻き込まれたんです」 「ふ~ん。で、シラサギはどうなったの?」 「飛んで『った』いきました」     
/165ページ

最初のコメントを投稿しよう!