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目に飛び込んできたのは、地面に尻もちをついた白いパーカーを着た少年と、その横で黒いデニムについた芝を払っている少年だった。
「あなたたち誰?ここで何してるの?」
あげそうになった悲鳴を飲み込んで、怜良が恐る恐る尋ねると、振り向いた顔には見覚えがあった。
確か、怜良の後に転校してきた「オセロ」と呼ばれている小暮蒼夜と神谷天真だ。
不審者を見るような怜良の視線に気が付いて、蒼夜が慌てて説明をした。
「驚かせてごめんな。俺たち、その…散歩をしてて、天真がドジを踏んで落っこちたのを、俺が助けようとして失敗したんだ」
その説明に合わせて天真が頷き、怜良の部屋の窓を指さす。
「そうなんです。あの屋根から落っこちて、途中で羽ばたいて着地したつもりが、勢いで転んでしまって…」
怜良は両腕を組み、ますます分からないと首を傾げた。
「落っこちたのは、白い鳥でしょ?どうして天真君が転んでるの?」
ひょいと二人が顔を見合わせ、眼を見張る。蒼夜が両手を大げさに振ってしどろもどろに説明をつけたした。
「そうなんだ。屋根から落っこちたのはシラサギで、えっと、天真と俺がそれを助けようと駆け寄って…」
「僕が転んだのに、蒼夜が巻き込まれたんです」
「ふ~ん。で、シラサギはどうなったの?」
「飛んで『った』いきました」
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