120人が本棚に入れています
本棚に追加
/165ページ
ハモった蒼夜と天真が指したのは別々の方向で、怜良はがっくりと肩を落とした。
「二人が仲いいのは分かるけど、早朝から人の家の庭で漫才なんかしないでよ。心配して損しちゃった。じゃあ、私、お弁当作らなきゃいけないから、また学校でね」
怜良が手を振り玄関へと向くと、オセロの二人が悪いな、またねと手を振って庭から出て行った。
玄関の扉が閉まる直前、鳥の羽ばたきが聞こえたのに気が付いた怜良は、ふとおかしなことに気が付いた。
シラサギって田んぼとか池にいる鳥じゃなかったっけ?この辺には水辺が無いのにどうして屋根にいたんだろう?
しかもカラスと一緒にいるなんて変よね?めったに見かけないコンビだから、きっとこの前、鏡が割れた時に拾ってくれたのと同じ鳥たちに違いないわ。
その時、2階からガサゴソ音がするのが聞こえた。
きっと真里菜が起きたのだろう。いけない、お弁当を急いでつくらなくっちゃ!
キッチンに飛び込んだ瞬間に、カラスとシラサギのことは頭からさっぱり消えていた。そして、前夜に下ごしらえしたおかずを、怜良は慣れない手つきで一生懸命調理し始めた。
最初のコメントを投稿しよう!