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部屋の中、蒼夜と同じ歳くらいの少女の手の平にクリスタルの小瓶を載せ、母親が慈しみを込めて少女の頬に震える手を当てる。
「怜良、これはあなたの願いを叶える小瓶なの。寿命を伸ばすとか、永遠の命などを願うことはできないけれど、大抵のことは本人の努力次第で叶うそうなの。あなたの願いを教えて」
「綺麗な小瓶ね。ママ。これどうしたの?」
「怜良、あなたのことを思って毎晩お祈りしたの。昨夜天使が夢に現れて、この小瓶を託してくれたの」
なるほど天使の小瓶かと頷いていた蒼夜を、隣のシラサギの天真がツンツンと羽でつついてきた。
邪魔をするなと蒼夜が睨みつけると、天真は胸を逸らして、羽で自分の胸を叩いている。
「何だ?悪い物でも喰って胸やけか?あとで叩いてやるから今は静かにしろ」
変な顔をした天真を放っておいて、蒼夜はまた窓を覗き込み、母親の言葉を聞いた。
「願いを叶えるためには努力がいるけれど、叶った時には一生その願いは生き続けて、あなたの力になってくれる。でも、努力もしないで、願いが叶わなかったときには、願ったことの反対の状況になってしまうの。だから気を付けて願いを言ってちょうだい」
「魔法の小瓶?でも、ママの病気が治ってくれたら、私は何もいらないわ」
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