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く~~っ。泣かせるじゃないか!あの怜良って子。何ていたい気なんだ!と蒼夜は天真に同意を求めるようにその背中に羽を回した。
「怜良、ママはもうすぐ眠りにつくの。あなたの願いを言ってちょうだい」
「ママ疲れたの?大丈夫?」
青白い顔をした母親は力なく首を振り、少女の腕に縋り付くようにして、答えを促す。
「すぐには思いつかないけれど、う~ん・・プリンセスになりたい」
「プリンセス?叶わなかったら大変な人生になるわ。もっと他には?」
「他って・・急に言われても分からないわ。やっぱり、王子様と出会って、幸せな結婚をするシンデレラみたいなプリンセスになりたい」
突如小瓶が小刻みに揺れ出し、菱形の蓋が浮き上がって、ベッドの上に転がると、瓶の口から噴き出した煙が、もうもうと部屋中に立ち込めた。
そして、視界を塞いだ煙を引き裂くような稲妻が瓶の口から少女に伸び、枝分かれした光の銛が窓を貫いて、覗き込んでいた蒼夜と天真に巻き付くと、電流のような衝撃が3人を襲った。
「きゃ~っ」
「うわ~っ」
ショックで屋根の上から脚が離れたものの、途中羽ばたいて墜落を免れ、蒼夜は芝生の上に尻もちをついた。
あまりにも驚いたので変身はとけて、頭からにょきりと生えた2本の角と、尾てい骨から生えた尻尾、そして背中からは黒い羽が出てしまった。
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