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しまった見られたかと、蒼夜が一緒に落ちた天真を振り返った途端、信じられないものを見て、一瞬にして角も尻尾も翼も引っ込んだ。
「お・お前、天真とか言ったな?白い羽って・・・ひょっとして天使って奴か?」
蒼夜の声にはっとして、天真が慌てて羽と頭上の輪っかを消して人間に化けた。
「あ、あなたは何です?さっき僕と同じ羽がありました。黒い羽が・。もしかして悪魔という方でしょうか?」
「うん、俺は悪魔の蒼夜だ。そうだ、さっき天使の小瓶とか言っていたな。願いを言った途端、煙を吐いたが、あれはお前の仕業か?」
蒼夜の質問に我に返った天真が立ち上がり、急いで窓に駆け寄った。
「どうしよう。大変なことになってしまいました」
綺麗な指で震える口元を覆った天真が窓から離れ、庭をせわしなく歩きまわりだす。
まだ芝生の上に座り込んでいた蒼夜が腕を伸ばし、むんずと天真の白いパンツを掴んで隣に座らせた。
「目の前でうろちょろされると、苛々するから座れ!一体どうしたんだ?」
「そ・それが・・・。普通はすぐ叶えられるような願いを言われるんです。僕の役目はそれを叶えて終わりなのですが、彼女の願いは王子と結婚してプリンセスになることです。それまで僕は運命の管理人として彼女の側で見守らなければいけません」
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