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「ふ~ん。ご苦労なこった。多分あの子は十歳くらいだろ?先は長いな。でも、お前は天使なんだから永遠の時間があるだろ?暇つぶしで付き合えばいいじゃないか」
「できれば、一緒に付き合ってもらえると嬉しいのですが・・・」
「はっ?何言ってんだ?あれはお前の持ち物で、願いの管理人はお前の仕事だろ?」
眉根を寄せた蒼夜が、天真を胡乱な目つきで見ると、天真は蒼夜の両腕をがしっと掴んで頭を下げた。
「ごめんなさい。小瓶の定めた運命管理人は、普通持ち主一人なんですが、あなたが私の背に羽を回していたから、二人とも管理人に指定されてしまったのです」
「あっ?何だって?」
その時、上空が陰ったかと思うと大きな鷹が舞い降りて、蒼夜と天真の前で成人した男性に変わった。
「くそっ、間に合わなかったか!そこの天使、願いをやり直しさせる術はないのか?」
「失礼ですが、あなたはどなたですか?」
「私はそこにいる蒼夜の兄だ。弟を迎えに来た」
「僕は天真といいます。残念ながら、一度交わした約束は彼女の結婚する相手が王子であるか判定が下るまで有効です。管理人は彼女の近くで見守らなければならないので、僕はこの地上で暮らすことになります」
眉を八の字に下げ、困り果てた天真が蒼夜の方を、どうしたものかと振り返った。
「えっ?俺も?俺も地上で暮らすの?そんな・・・兄ちゃん、どうしよう?」
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