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「私たちが作ってるものって…人に見てもらって…初めて完成っていうか…そういう所ある気がするんだ…」
「うん。それ、少し分かる」
「時々…作品を見てくれる誰かの事ばかり考えちゃって…先に進めない事があってさ…」
「私にもあるよ。時々じゃなくて、毎日かも…」
私もよくそこで悩んでいた。そのせいで下描きのまま放り投げてしまった絵が今まで何枚もあった。
線を引くとき、色を作る時、ふと頭に浮かぶ『これって正しいのかな』という言葉。もしかしたら変だとか間違ってるだとか言われたらどうしようと思い、心配になる。そんな事を誰が言うのかと聞かれても、はっきりとは答えられない。そういうぼんやりとした輪郭だけの人のご機嫌を取ることに夢中になって、息が苦しくなる時がある。そして、そんなことにもがいている自分が嫌になる。
絵を描いていると時々そんな負のループに落ちることがあった。
自分で自分の目に目隠しをしてしまい、どこへ進んでいいのか分からなくなる。
私はうまく言葉にできなかったけれど、つっかえながらも自分の心の内を葵に話してみた。彼女はまっすぐ私の言葉を受け止めてくれた。
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