居場所がなければ作ればいい!!!

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引きこもりから一年ほど経つと兄が帰国してきた。 そして兄は両親から僕の話を聞くと怒鳴り声を上げて鍵のかかった僕の部屋にやってきた。 僕は恐ろしくて開けられなかったが、兄は外から開けられるはずがないドアを開けたのだ。 そして、ドアを閉め鍵をかけた。 「ちょっと来い。」 兄は僕の部屋に座禅になり僕を手招いた。 「はい。」 僕は逃げられるとは思わず、布団から出て兄の目の前に正座で座った。 僕はまた叱られ怒鳴られるのかと思ったが兄は深呼吸してニッコリ笑いかけた。 「さっき怒鳴ったのは演技だ。親を騙すためのな」 僕は兄のその言葉を聞いて涙をぽろぽろ流した。 「泣くな泣くな、漢だろ。」 「だって…だって…」 「黒星を取るなっていう方が頭おかしいんだ。でも、お前も馬鹿だよな、黒星を素直に見せるんだから」 僕は、へ?という顔をして兄の顔を見た。 「俺だって黒星を取ったことはあるが、上手く隠し通してきた。だが、俺はお前にそんなことができるとは思わない。」 「ず、ずるい!!」 「戦略的なだけだ。勝手に悪者にするなよな」 僕は今度は兄に対してむすくれたが、兄はまぁ、待てと僕のむすくれを止めた。 「お前に言いに来たのはこんなしょうもないことじゃないんだ。」 「じゃ、何を言いに来たんだよ」 「むしろ、開き直してこの部屋いっぱいに汚点を付けるってのはどうだ?」 僕は兄の言っていることがわからなかった。それは自ら両親に喧嘩を売りに言っているのと同価値のことであるからだ。 「僕に死んで欲しいの?」 「まさか、そんなはずないだろ。たった一人の弟だぞ。」 「どうして?」 「そんなもん決まってるだろ。両親に刃向えるのはお前だけだからだよ。俺は両親に逆らえず英才教育をしてきたがお前は逆らってしなかった。」 「それとこれと何の関係があるのさ?」 「だから、俺は引きこもりのお前に出てきてもらいたいし、親にやり返してもらえたい!だから兄としてお前にお願いしたい。この真っ白な家に汚点を付けてくれ!」 僕は兄をはっきり言って憎んでいた。両親のように何でもできる兄を。だが、そんな兄でもできないことがあったのだ。 それは… 親に逆らうこと!
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