一眠り

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「今日から皆さんと一緒に働くことになりました。柴田颯ですよろしくお願いします」 決して低くはない俺でも少し見上げる位の身長。甘いマスクの彼の笑顔は女にモテそうで、現にうっとりと彼を見つめる視線に苦笑がもれる。 「そういうことだから、藤堂、柴田君の教育係りを頼む」 「わかりました」 「では、各自仕事に戻ってくれ」 パンと一つ手を鳴らし皆を促せば早々と仕事を開始する皆。 「柴田君は藤堂についてくれ」 本人へと直接告げれば、人好きそうな笑顔を浮かべたままコクりと一つ頷き藤堂の元へと近づいていった。 もう、俺は十分な大人だ。 だから、彼の目の奥のギラついた感情なんかに一々反応などしはしない。 そんな事気にしていたらきっと仕事になんてなりはしないからだ。 「部長、気分でも悪いのですか?」 「いや、大丈夫だ」 さすが、佐倉さん。少しの変化にも敏感で、目敏く俺の心を読み取ろうとする。 「そうですか、ならこちらに判をお願いします」 「わかった。後で目を通すからそこに置いておいてくれ」 「わかりました」 パサリと俺の机の一角に書類をおき自分のデスクに戻った佐倉さんの後ろ姿をみて思わず溜め息がでた。
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