一眠り

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「早く仕事をしたらどうですか?この駄犬」 「なんだと!藤堂表出ろや!」 「いいですよ」 放っておいたらいつまでも続きそうなそれに頭が痛くなってくる。 「いい加減にしろ」 静かにいい放った俺の言葉で二人は苦虫を潰した様な表情をしながら自分の席にもどっていった。 「部長も大変ですね」 暁の隣の席の佐倉さんが暁の書類を仕上げてくれたらしくそれを俺に苦笑しながら渡してくる。 「君も止めてくれていいのだが」 「あれを聞かないと1日が終わりませんから」 「悪趣味だな」 佐倉さんは綺麗で、仕事が出来る人だ。彼女の頭の回転のよさは感嘆するほどだが、少々性格が変わっている。 だからか、もう32にもなる彼女が結婚をしていないのは。 あの見た目なら引く手あまただろうに。 なんて、おれの余計な考えは彼女にはお見通しらしく威圧的な綺麗な笑顔をむけられる。 「部長よりましですよ」 なんて、余計な言葉つきでだったが。 「佐倉ちゃん相変わらずこわー」 「暁くん?」 「おっと、仕事が」 なんだかんだ俺はここが居心地がよくて嫌いではない。 「藤堂、これ来週までに仕上げといてくれ」 今日やらなければならない仕事をあらかた片付けて帰宅準備を始める。 「お疲れ様ー」 なんとも緩い見送りの言葉に力がぬけそうになりながらも嫌な気分がしないのは相手に心を許してる証拠なのだろうか。
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