一眠り

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「話とは」 目の前に座っている副社長はとても若い。 といっても俺より少し下の30だったか、"副社長"なんて大層な役職なのにその年齢なのはうちの社長と同級生で、ともにこの会社をたちあげた人物だからだ。 そう、うちの社長も俺より年下なのだ。 「んー」 もう30にもなるというのにあどけない笑顔をする副社長も間違いなく整った顔をしていてかつ、童顔のため下手したら学生にしか見えない。 「話とはなんですか?」 「そんな堅苦しい話し方やめてよー」 どこかの犬を思い出しそうな話し方だがどちらかといえば中性的な顔立ちの副社長は猫のようで 「あなたは、副社長ですからね」 「ちぇっー」 なんて口を尖らす彼との関係は間違いなくただの上司と部下だ。 ただ、何故か社長と副社長の二人に気に入られてる。ただそれだけだ。 話なんて、なかったのではと思い立ち上がろうとした俺に慌てて副社長は話を始めた。 「明日新入社員がくる」 「こんな時期にですか」 10月というなんとも微妙な時期の採用に疑問が浮かぶ。 そんなに人手不足だったのだろうか。
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