日常13
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日常13
心が荒野の時代に小銭だけが財布の中で音を立てている中、村上春樹の「風の歌を聴け」をジーパンの後ろポケットに入れて中古自転車のオイルの足りないチェーンを軋ませながら、無職の自分が行き先も選ばないまま走っては一息つけるところでおもむろに開いて、中途半端なページを広げてその一文を読む。 そんな生活もあったなと思い出すと、今の心の荒野にあの本が必要なのかと思うのだった。
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