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「……今年の春分祭は異例です。リリーもエルフレットも不在……彼等はおそらくもう動き出しているのでしょう。我らも動かないとなりません」
「何を始めるのだ?」
「始まりの地の祭殿へ向かい詩を捧げます。先ほどから我らの内に詩が降りているのです。詩を捧げたのち私はまたここに戻って参ります」
キオエンは大公国王に告げると、他の吟遊詩人達と共に宮殿の裏口から始まりの地廃火山の祭殿へと向かっていった。
大公国王はキオエン達がいなくなるとすぐに統治する国内に住む領民達に広く発令を出す準備に取り掛かる。
「……終わりの始まり……、なんとしてでもくい止めなければならぬ……」
ふと見上げた宮殿の外、新月を明日に控える静かで不変の夜の空を見上げ小さく決意の言葉を口にした。
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