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「……こんな場所があったなんて……」
目の前の光景にエルフレットが驚きを隠せずにいると、直ぐそばでリリーが痛みにうめきうずくまってしまう。
すかさずエルフレットはリリーを支えたものの、破水が始まっているのに気づいた。
「リリー、少しでも楽な姿勢になるといい。大きく息をして……っ」
覚悟を決めてエルフレットは声をかけ、柔らかい土の上にリリーを横たわらせる。
これからは時間との闘いとなる。
それを認識して一時リリーの傍を離れると、エルフレットは手早く宮殿を出る際に背負ってきた荷物を降ろし、中からありったけの布を準備した。
一処に留まらず各地を回って詩を詠む吟遊詩人は、立ち寄った先で子供が生まれると祝詩を誕生した子に与え祝福を送る。
エルフレットもこれまでに何度か出産に立ち会い詩を送った経験もある事から、今リリーと己2人しかいないこの場で自分が何をすべきかは分っていた。
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