義盟結集

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ところ変わって後漢末期の頃。 転生した劉備は草原のなかで横になっていた。 いまだに目覚めていないのである。 その劉備に影が覆った。 「おおっ、兄者、兄者!」 劉備の頬をたたく男の声。 影は大きく、劉備の身体をすっぽりと覆ってしまう。 雄々しく厳格そうな声の主。 しかし、どこか落ち着いており、劉備にとって、それは懐かしい声のようである。 「……んん」 声に促され、劉備はゆっくりと目を開けた。 するとそこには、長い髭をたくわえた赤ら顔の大男が劉備の頬をたたいていた。 「……雲長?」 そう呟くと、劉備は驚きとともに跳ね起きた。 「雲長!雲長ではないか!」 「おお!そうです関雲長(かんうんちょう)です!ああ兄者――!」 二人は手を取り合った。 劉備は涙した。 関羽も涙した。 出会ってすぐのことだった。 劉備とこの関羽という者は涙ながらに抱き合い、そして再会を心より喜んだ。 この男の名は関羽(かんう)(あざな)雲長(うんちょう)という。 関羽は司隷河東郡解県(しれいかとうぐんかいけん)の人である。 かつて劉備、そして張飛(ちょうひ)と義兄弟の契りを結んだ劉備の義弟であり、また、蜀漢(しょくかん)の時代を代表する将の筆頭である。 目は鳳眼、眉は太く髭は艶があり、それが胸までふっさりと落ちている。 また、身の丈九尺程※もあるような巨躯であり、棗のような赤ら顔で眼も鋭いところであるが、それでもどこか落着きがあり、智的で声も低くおっとりとしていた。 (漢代では一尺23.09cm九尺だとおよそ2m08cm)
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