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あと少し、粘っていたならば、もしかしたら董卓に追撃をすることもできただろう。
撤退する董卓を相手ならばこちらは優位に立てただろうに。
――む?いや、待てよ。
まだ機は完全に失っていないんじゃないだろうか。
孫堅は考えた。
「程普。今から董卓を追撃すれば間に合うだろうか」
程普は少し考え、
「おそらく董卓は宮廷や町人らから金品を奪っていく事でしょう。ですので追いつくことはできるかもしれません」
などと答えたので、孫堅は、
「ならば、急ぎ董卓を追うぞ!今こちらは少数だから足は速い筈だ」
そう言い、急いで騎乗した。
「ですが、このように兵達は疲労困憊で、兵糧もままならぬ状況ですと、大した被害も与えられず、兵力を消耗するだけなのでは?それに董卓が長安までの道のりに、伏兵などを敷いていたらどうするおつもりです」
「しかし、この機を逃せば江東の虎の名が廃る。私は袁紹のようにはなりたくないのでな」
「……わかりました。では私もついていくますゆえ。くれぐれも慎重に」
「ああ、わかっている」
孫堅は輩を連れて洛陽へと向かった。
袁術からまた借金を重ねて兵糧を得たのだが、程普等の側近らは当然いい顔はしなかった。
先行きが不安な孫堅の一軍。
しかし、事態は意外な方向へと向かっていた。
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