江東の虎

8/13
668人が本棚に入れています
本棚に追加
/319ページ
韓当(かんとう)がもってきたもの、それは玉璽であった。 「随分と大げさだな、かしてみろ」 手にとってみてみると、玉璽はどういうわけか、常とは違う独特の趣があった。 見れば、受命於天既壽永昌という文字が刻まれてあるではないか。 「この玉璽、何かあるな……誰か、程普を呼べ」 程普はこれらの将たちのなかでも顕学であった。 彼がすぐに馬から降りると、大将の孫堅の方から駆け寄った。 「程普、これなのだが……」 孫堅が渡したそれを、 「それでは拝見いたします」 程普はしばらくこれを凝視した。 やがて程普は目を見開いた。 「これは……」 愕いたような目で声を吃する程普。 「ご主君、これをどこで?!」 やはりただの玉璽でない。 この程普の態度でよくわかる。 「これは韓当が先の林中で拾ってきたものだ」 「むむむ……」 程普が唸るので、孫堅は不思議そうに訊ねた。 「程普よ、これは一体なんだ?」
/319ページ

最初のコメントを投稿しよう!