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韓当がもってきたもの、それは玉璽であった。
「随分と大げさだな、かしてみろ」
手にとってみてみると、玉璽はどういうわけか、常とは違う独特の趣があった。
見れば、受命於天既壽永昌という文字が刻まれてあるではないか。
「この玉璽、何かあるな……誰か、程普を呼べ」
程普はこれらの将たちのなかでも顕学であった。
彼がすぐに馬から降りると、大将の孫堅の方から駆け寄った。
「程普、これなのだが……」
孫堅が渡したそれを、
「それでは拝見いたします」
程普はしばらくこれを凝視した。
やがて程普は目を見開いた。
「これは……」
愕いたような目で声を吃する程普。
「ご主君、これをどこで?!」
やはりただの玉璽でない。
この程普の態度でよくわかる。
「これは韓当が先の林中で拾ってきたものだ」
「むむむ……」
程普が唸るので、孫堅は不思議そうに訊ねた。
「程普よ、これは一体なんだ?」
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