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劉備がそういうので盤古は少し待った。
しかし、待てども暮らせども劉備からは起きる気配がない。
この男はどうやら起きるつもりがないらしい。
「むむむ……」
痺れを切らした創造神盤古は大きく息を吸った。
「ええい、はよ目覚めんか!!」
「のわっ?!」
稲妻の如く叫ぶ声に劉備は猫のように跳ね上がった。
なんという馬鹿でかい声だろうか、慌てて劉備は起きて立ち上がる。
そして目を丸くした。
「な、なんだこれは?!」
目覚めてみるとそこは、辺り一面何も存在しない、真っ白な世界。
真っ白な背景だけが広がる場所だったからである。
足場も景色も奥行すらもない。
まるで濁りのない蝋燭の中に閉じ込められたかのように真っ白な世界。
「目覚めたか劉玄徳」
動揺する劉備の背中に声がかかった。
「む?」
聞こえた方へ、劉備は振り返った。
それと同時、
「のわっ?!」
再び驚きの声をあげた。
無理もない。
なんと目の前に現れたのは口。
砦すら一飲みできそうな位の大きな口だった。
これを別の物に表すとどのくらいの大きさだろうか。
いや、計り知れない。
とにかく目の前いっぱいに広がる唇があり、それがどのくらいの規模かもわからないほどに巨大であった。
目にしてすぐに劉備は腰を抜かした。
「そ、そなたは何者だ?!」
そして顔は青ざめ、凍えるように震えだした。
口は砦すらひと呑みするほど大きく開いた。
それと同時、目の前いっぱいに大きな風と唾がとんでくる。
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